文系私大生の徒然日記

来春から社会人

六千人から四万人に

映画『杉原千畝』を観てきた。杉原千畝に関しては、関連本も何冊か読んでいて、歴史上とても思い入れのある一人だ。以下、ネタバレを含む感想を記す。

とても、考えさせられた映画だった。もともとストーリーは伝記を読んでいるので知っているが、改めてそう言えばそうだったと思い出した事実もたくさんあった。

撮影はポーランドでオールロケだったそうで、さすがの映像美と思うシーンも多かった。衣装も時代に沿っていて、ダンスパーティーのシーンなどは心躍る。そのシーンを戦況と共に映し出すという演出はなかなかであった。明るいワルツに合わせて、日本の戦況がどんどん悪くなる。日本は狂っていたのかもしれない。

やはり、頭が良い人というか、先見の明がある人に惹かれる。杉原千畝は、日本の外交の甘さに気づいていた。証拠もある中で、日本が間違って方向に進んでしまうことにもどかしさを感じていたのかもしれない。

千畝が、切手をあげたソリー・ガノールという方が、日系の米軍に助けられたこと。イリーナというポーランド人の女性がユダヤ人を大勢助けたこと。千畝からビザを受け取ったあとの困難。ウラジオストクの領事根井やJTBの大迫の存在。私が知らなかった事実が沢山あった。また、ホロコーストから逃れたユダヤ人が原爆を作るきっかけとなったことも。歴史はどの視点から見るからで、見方が大きく変わってくる。誰が正しくて、誰が正しくないのか。

このようなことが二度と起こらないことを祈るばかりである。千畝が助けたユダヤ人の子孫は四万人になっているらしく、その一人の存在が彼らを救ったという事実にただただ感動を覚える。

日本人にはぜひ観てほしい映画である。